モーニングセミナー講師紹介
    第1174回9月29日(土)
    浜松西倫理法人会 会長
    (株)ジー・ディー・エス 代表取締役
    矢野 剛一 氏
    第1173回9月22日(土)
    三島市倫理法人会 会長
    (有)きもののむらき 代表取締役
    木村 英治 氏
    第1172回9月15日(土)
    静岡市倫理法人会 会員
    フラクタル心理カウンセラー
    内藤 ようこ 氏
    第1171回9月8日(土)
    NPO法人開発教育Funclub 代表
    アース(明日)カレッジ校長
    静岡市校長会事務局長
    肥田 進 氏

ニュース&トピックス

会員スピーチ
    「ハイは、喜んで」
    静岡市倫理法人会 幹事
    株式会社コトブキ観光 代表取締役
    佐野 聡
「正義と法について考える」

横濱竜也氏
静岡大学人文社会科学部
准教授

横濱 竜也 氏


「正義とは何か」「法とは何か」を哲学的に考える法哲学が、
どう面白いかについて、私の研究関心を交えてお話できれば
と思います。


 

講師インタビュー

静岡大学人文社会科学部の准教授として教壇に立たれている横濱竜也先生にお話を伺いました。

― そもそも法哲学とは一口に言って、どういう学問なのでしょうか。

「正義について考える」と「法について考える」という2つの仕事があります。
一般的に「正義論」とか「法概念論」とか言われます。

法とは何をしているものなのか、について考えるわけです。
法は正義を目指しているとか、法によって自由が守られるとか、
法と言うものは平等の実現のために働かなくてはいけない等を
丹念に考えて行く学問なのです。

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― 「悪法を是正する義務ー遵法義務と政治的責務の統合に向けて」という
 論文を最近発表されていますが、どんな要旨でしょうか。

私が研究を始めて20年経過するのですが、主たる研究は「悪法問題」です。

古代ギリシャのソクラテスの弟子プラトンがまとめた「ソクラテスの弁明」
という本はご存知でしょうか?

ソクラテスは冤罪だったにも関わらず、死刑の判決を受けます。
亡命を勧める弟子の希望も断り、ソクラテスは甘んじて刑を受けるのです。
刑が執行される日の朝まで「何故、このことから逃げてはならないのか」を
弟子と哲学的に対話する様子を書いたものです。

冤罪で死刑ですから、所謂「不正な法(=悪法)」なワケです。
何故悪法に従わなくてはならないのかという問題が歴史上問われてきました。
そういう思想史的な系譜もあります。今もなお、問われ続けているのです。

「悪法も法」という言葉の通り、法である以上従わなくてはならないのでは
ないかという問い掛けです。本当にそうなのでしょうか?正しくないのだから
従わなくてもいいのではないか、となりそうなのですが・・・・

・・・・・ この続きはモーニングセミナーで横濱先生から直接お話を聞いてくださいネ!

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― 横濱先生の「悪法」に対する考え方をもう少し詳しく教えてください。

私の立場としては基本的には「悪法に従う義務はある」という考え方です。
その方向から説明しようと試みるわけですが、その時に「悪法に従うとはどういう
ことなのか」を考え直してみた方がいいのではないかと思うのです。

「悪法を是正する義務がある」と言うとピンと来ないかも知れませんが、
もう少し「法に寄りそう考え方」と申しましょうか・・・。

法に従うという態度は「法だから従う」「不満はあるが従う」「制裁が怖いから
従う」と色々あります。一方、法に従わない態度は「そもそも法が誤っているの
だから従わなくて良い」というものです。

そのいずれでもなく「法が誤っていれば直さなくてはならないのではないか?」
という考え方なのです。

直すとなると、逃げてしまっては変えるタイミングを逃してしまうわけです。
この辺りは、ソクラテスの態度と重なりますね。

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公民権運動のマーチン・ルーサー・キング(キング牧師)は、黒人差別に
反対し、法を破ります。当然、警察につかまり裁判にかけられ有罪になります。
本人たちからすれば、言われのない理由で刑務所に送られることになります。
逃げれば良いのではないかと思いますが、彼は甘んじてそれを受けます。

法を破った報いを受け入れている人間がいる、それでも反対運動を止めない。
そうなると法が正しいと思っている側が「ひょっとして自分たちの方が間違って
いるのではないか?」という空気になってくる。

そうやって、法に従ってちゃんと制裁を受けるのですが、そのプロセスを通じて、
多数の側に反省を促すやり方があります。これを「市民的不服従」と言います。

私はこの市民的不服従をする人たちは何を期待しているのだろうか?と、
研究を通じてずっと関心を持ち続けているのです。

・・・・・ この続きもモーニングセミナーで横濱先生から直接お話を聞いてくださいネ!

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― 横濱先生が今関心があること、今後の研究にについて教えて下さい。

今、国家をまとめていくナショナリズムについて関心があります。
ところがナショナリズムは自分たちの国民を特別に扱おうとするのですから、
正義と相性が悪いのです。(笑)

正義との衝突をどう解決していくか、ないしは、衝突していても良いのですが
衝突しても大丈夫なナショナリズムとは一体何なのか、ということを考えなくては
なりません。正義そのものについても関心がありますね。


- それでは6月6日(土)のモーニングセミナーのご講話、楽しみにしています。
  本日は大変興味深いお話を、ありがとうございました。<インタビュー・小吹 真司>


講師プロフィール

1970年 大阪府豊中市生まれ。
東京大学法学部卒、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(博士(法学))。
現在、静岡大学学術院人文社会科学領域法学系列准教授。法哲学専攻。

ホームページ : 横濱竜也先生 http://www.hss.shizuoka.ac.jp/general/staffs/law/yokohama.html